2026年3月8日

改正区分所有法について

改正区分所有法について(令和8年4月施行)

 A1.
 令和7年5月、マンションをめぐる権利関係等を定める区分所有法の改正法が国会で成立しました。
 本改正の主たる目的は、長らく課題とされてきたマンションをめぐる「二つの老い」、すなわち「建物の高経年化・老朽化」と「居住者の高齢化」に対応することです。
 これらの課題に応えるため、①総会決議の円滑化を目的とした決議要件の一部緩和や所在等不明区分所有者の議決権除外制度の創設、②管理不全となった共用部分・専有部分管理のための新たな財産管理人制度の創設、③国内管理人制度の創設、④建替え以外の新たなマンション再生メニューの創設 などの改正が行われました。
 本改正法は、令和8年4月1日に施行され、全てのマンションに適用されます。
 

 A2.
 今回の改正における重要ポイントのひとつが、総会運営及び決議の円滑化を目的とした決議要件の緩和です。
 本改正に伴い、改正法の規定に抵触する総会運営や決議に関する規約の定めはその効力を失うものとされました。
 多くのマンションでは、国土交通省が策定している「標準管理規約」をモデルにして管理規約を定めていると思われますが、令和6年6月7日改正までの「標準管理規約」に則って定められた総会決議要件の定めは、今回の改正法に抵触し、令和8年4月1日以降は効力を失ってしまいます。
 よって、少なくとも、総会の決議要件に関する規約の定めについては、改正法との抵触の有無を確認し、全区分所有者に対し、新法下で適用される新たな決議要件を明示するためにも、必要な規約改正を行うべきと思われます。
 総会に関しては、招集手続き等についても改正が行われました(全ての総会提出議案につき招集通知に「議案の要領」の記載を要する、招集期間の変更など)。これらについても、現行規約が改正法と抵触していないかを確認し、必要な規約改正を行うべきでしょう。
 そのほかにも、今回の改正では、現代マンションが抱える「二つの老い」(Q1.参照)に伴う課題に対応するため、様々な制度や改正規定が設けられています。
 このようにマンション法制が大きく変化した中で、今は、各々のマンションにて近い将来に生じうる課題をできるだけ想定し、規約見直しや必要な改正を行う好機にあると言えるでしょう。
 

 A3.
 今回の区分所有法改正によって規約改正が義務付けられるわけではありませんから、改正が必須とまでは言えません。
 しかし、将来にわたる組合運営の安定をはかるためには、改正区分所有法や標準管理規約(最新は令和7年10月改定版)との比較照合をとおして、将来を見据えた組合運営のありようを考え必要な管理規約の改正を検討することが望まれます。
 
【もっと詳しく】
 昭和年代建築のマンションは、建築後すでに40~50年以上を経過しており、今回の法改正の契機である「二つの老い」(A1.参照)の真っ只中にあると思われます。
 このため、これまでの組合運営において、特段に深刻な問題を生じていなかったとしても、将来もまた同様であるとは言えないと思われます。
 特に、管理組合の構成員である区分所有者の高齢化は、組合における意思決定のありように深刻な影響を及ぼす懸念があります
 例えば、理事会役員等のなり手不足の問題は、高齢世帯の多いマンションでは既に生じ始めていますし、誰もが患うおそれのある認知障害などにより、総会における議決権行使が困難になるなどして、徐々に総会の円滑な運営が困難になっていく可能性もあります。
 また、区分所有者に相続が開始した場合、区分所有者たる地位はその相続人(配偶者や子など)に承継されますが、新たな区分所有者が当該マンションに居住しない場合等には空き家になってしまい、組合の円滑な運営や当該専有部分を含む建物の維持管理について、少なからぬ影響を受ける可能性があります。
 更に、相続などを契機に当該専有部分が第三者に売却され、区分所有者の構成が変化していけば、組合運営のありようも、自ずと変化を迫られるかもしれません。
 これらはいずれも、かなり現実的な近未来の姿であると思われます。
 もし、「これまで特段問題はなかったから無理に規約を改正しなくても…」との理由で、規約を昭和時代のままにしておくとすれば、将来万一、何らかの緊急性・重要性の高い課題が生じたときに、総会を機動的かつ円滑に運営できず、必要な行動を迅速に取れない事態に陥ってしまう可能性は否定できません。
 こうして考えると、規約改正がほとんど行われてこなかったマンションほど、今回の法改正を一つの契機として、今後の組合運営において生じうる諸課題をできる限り想像しつつ、管理規約を「総点検」してみる必要性は、高いのではないでしょうか。

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