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2018年11月2日

「相続させる遺言」と相続法改正

Q. 父がいわゆる「相続させる遺言」を遺して亡くなり、私が単独で不動産を取得することになりましたが、相続登記の申請は急ぐ必要がありますか?

A. 平成30年民法(相続法)改正により、共同相続における権利承継の対抗要件に関する規定が新設され、法定相続分を超える権利承継部分については、対抗要件である登記を備えなければ、第三者に対抗することができないとされましたので(民法899条の2)、「相続させる遺言」が効力を生じた後は、速やかに相続登記を申請する必要があります。

【解説】
 これまで、いわゆる「相続させる遺言」による不動産の権利の取得については、登記をしなくてもその権利を第三者に対抗できるとされていましたが(最判平14.6.10判時1791-59)。

 しかし、この結論については、遺産分割や遺贈による権利の取得の場合に登記が対抗要件とされていることとの整合を欠き、遺言の内容を容易には知りえない第三者の保護にも欠けるとの批判がありました。

 そこで、平成30年民法(相続法)改正では見直しがなされ、法定相続分を超える権利承継部分については、対抗要件である登記を備えなければ、第三者に対抗することができないとされました(民法899条の2)。

 このため、「相続させる遺言」により不動産を単独で取得した相続人Aが、その相続登記をしないでいる間に、万一、他の共同相続人が法定相続分による共同相続登記を行ったうえで自己の持分を第三者に売却し、その第三者が先に登記を備えてしまうと、相続人Aは、自己の法定相続分を超える部分については、第三者に権利の取得を対抗できないことになりました。

 したがって、今後は、「相続させる遺言」によって法定相続分を超えて不動産の権利を取得した相続人は、売買や贈与などによって権利を取得した場合と同様に、速やかに相続登記を申請する必要があります

 平成30年民法改正では、配偶者居住権の新設や自筆証書遺言に関する見直しなどに関心が集まっていますが、上記の内容も、相続により承継取得した権利の保全の観点からは大変に重要な改正といえます。

2018年10月11日

相続登記に必要な戸籍等の範囲と請求方法

Q. 亡父名義の土地建物の名義変更(相続登記)を考えています。相続人は母・私・妹の3名です。調べたところ、戸籍謄本等を収集する必要があるようですが、収集すべき範囲や請求の方法がよく分かりません。

A. この場合、少なくとも、「被相続人(お父様)の死亡から出生までを証する全ての戸籍等」と「相続人3名(お母様・ご本人・妹様)の現在の戸籍等」が必要です。
 請求の方法については【解説】をご参照ください。

【解説】
 相続登記をはじめ各種の相続手続きでは、被相続人及び相続人の戸籍謄本等(※)が必要となります。収集すべき範囲は被相続人と相続人との関係により異なります。
 ※「戸籍謄本等」には、厳密には、戸籍謄本・戸籍抄本・除籍謄本・改製原戸籍といった種類があります。ここでは、これらを一括して「戸籍等」と表記します。

 今回のケースでは、A.で回答のとおり、(1)被相続人の死亡から出生までを証する全ての戸籍等、(2)相続人の現在の戸籍等が必要になります。

 また、相続登記手続きにおいては通常、(3)被相続人の死亡時の住民票の除票(本籍地入り)(4)不動産を取得する相続人の現在の住民票も必要となります。

 (1)については、まず、被相続人の本籍地で戸籍謄本を請求します。このとき、「戸籍全部事項証明書」(コンピュータ化後の横書きのもの)と「改製原戸籍」(コンピュータ化前の縦書きのもの)の2通ある場合には両方とも取得します。

 続いて、交付された戸籍等から、被相続人のそれ以前の本籍地(転籍前あるいは婚姻前の本籍地等)を読み取り、その本籍地の市区町村に除籍謄本(または改製原戸籍)を請求し、最終的に出生時まで遡っていくようにします。

 上記の各請求をする際は、申請書の余白等に、「亡○○の相続手続きのため、死亡から出生に遡る全ての戸籍等を請求します」などと記載すれば、担当者に請求趣旨が伝わりスムーズです。

 被相続人の戸籍等は、転籍の有無等により異なりますが、多くの場合3~5通程度になります。

 (2)のうち、配偶者については、被相続人の戸籍謄本に妻として記載されているはずなので別に取得する必要はありません。子2名については現在の本籍地に戸籍謄本(戸籍抄本でも可)を請求します。

 本籍地が遠方にある場合は郵便で請求することも可能です。市区町村のホームページにて戸籍等の請求方法が案内されており、申請書をダウンロードできるところも多いので、個別にご確認ください。

 また、戸籍等の収集がご面倒であれば、司法書士に相続登記手続き等を依頼されることで、司法書士が代わって収集することもできます。

2018年10月9日

住宅ローンの完済と登記

Q. 住宅ローンを完済したところ、金融機関から"抵当権抹消に関する書類"が送られてきましたが、何かする必要がありますか。

A. "抵当権抹消登記"を申請する必要があります。

【解説】
 自宅等を購入する際に住宅ローン融資などを受けると、同時に抵当権設定契約がなされ、その不動産に金融機関を登記名義人とする抵当権設定登記がなされます。

 その後、住宅ローンを完済すると、抵当権は法律上当然に消滅します(抵当権のもつ附従性-被担保債権がなければ抵当権は成立しないとの性質-による)。しかし、不動産になされた抵当権設定登記は、その抹消登記を申請しなければ残ったままになります。

 "抵当権抹消登記"は、不動産所有者を登記権利者、抵当権者を登記義務者として共同で申請することになります。しかし、実務上は、金融機関から所有者に対して、金融機関側の用意すべき登記必要書類を交付し、以降の手続きは所有者自身が行うことになります。

 抵当権抹消登記に必要な申請書及び添付書類等は次のとおりです(ケースによって、これ以外に必要な場合もあります)。

 ・登記申請書(申請者自身または申請代理する司法書士が作成する)
 ・登記原因証明情報(解除証書など・金融機関から交付)
 ・登記識別情報または登記済証(金融機関から交付)
 ・会社法人等番号
  (会社法人等別に割り当てされた12桁の数字・金融機関から通知)
   ※登記申請書の所定欄に記載する
 ・委任状(司法書士に申請代理を依頼する場合に必要・所有者及び金融機関の2通)
 ・登録免許税(不動産1個につき1,000円)

 なお、申請手続き先は、自宅等の不動産の所在地を管轄する法務局となります。


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