2020年5月15日

国や地方自治体が実施する給付金や融資特例等の経済施策や制度について

Q. 新型コロナウイルス感染拡大による経済環境の悪化を受け、国や地方自治体から様々な給付金や融資特例等の経済対策が示されていますが、内容が複雑でよくわかりません。
 市川市にて居住または事業を行っている場合、どのような施策や制度が実際に利用できるのか知りたいと思います。
 また、これらの施策や制度を実際に利用するにあたって、貴事務所ではどのような支援を受けることができますか。

A. 解説をご参照ください。

【解説】
第1 3つの観点からみてみる
 新型コロナウイルス感染拡大による経済環境悪化の影響を受けて、現在、国や地方自治体から様々な経済対策が示され、新たな給付金制度や特例的な融資制度などが設けられつつあります。

 これらをまず、政策実施主体の面から分けてみると、①「国」が実施するもの、②「都道府県」が実施するもの、③「市区町村」が実施するものの3種類に分類されます。これによって、制度を利用できる方の地理的な範囲が画されることになります。

 次に、対象者(政策の受け手・制度の利用者)の面から分けると、①「個人」として受けられるもの、②「個人事業者」として受けられるもの、③「法人(会社など)」として受けられるものの3種類に分類されます。これは、利用者の属性による分類となります。

 更に、給付される金銭の性質から分けると、①原則として返還の必要がない「給付金」などと、②原則として返済が必要だが、元本返済が一定期間据え置きされたり、利子補給によって事実上無利子とされたり、信用保証料が補助されるなどの有利な条件が付された「融資」などに分けられます。これにより、金銭支給や交付を受けた場合の、使い道の制限有無や返済の要否などが変わってきます。

 細かく見ていくと、国・都道府県・市区町村の各レベルで、個々別々そして時々刻々と新たな施策や制度が検討・実施されている状況のため、それらすべてを網羅して精緻に整理することはなかなか困難です。

 しかし、報道等で触れる新たな施策や制度を、上記3つの観点からみていけば、それがそもそも、ご自身が利用できる制度であるかどうか、また、利用できるとして、それが利用する価値のある制度であるかどうかなどを、より判別しやすくなるのではないかと思います。


第2 市川市において利用が考えられる主な施策や制度
 次に、当事務所の所在する市川市を基準として、本日(令和2年5月15日)現在、国や地方自治体ホームページにて公表されている情報から、新たに実施される給付金や特例融資等の施策や制度を整理してみます。

 なお、各施策や制度の具体的内容や適用要件は、各ホームページに公表されている情報が一番正確かつ確実ですので、ここでは制度概要をお示しするにとどめます。詳細は、必ず、各ホームページにて直接に確認されるようにしてください

 また、利用しうる施策や制度は、ここで紹介したものに尽きるわけではありません。本ページにて情報収集される際には、この点にも十分ご留意ください。


(1)市川市を含む千葉県全域において行われる施策や制度
特別定額給付金【国(総務省)※給付事務は市区町村が行う】
対象者:「個人」
※令和2年4月27日現在で住民基本台帳に記録されている者
性 質: 給付金であり、原則として返還不要
概 要: 給付対象者の属する世帯の世帯主を受給権者とし、給付対象者1人について10万円を給付する。
https://kyufukin.soumu.go.jp/ja-JP/index.html 

②持続化給付金【国(経済産業省)】
対象者:「中小法人」及び「個人事業者等」
性 質: 給付金であり、原則として返還不要
概 要: 令和2年1月から令和2年12月の内、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月が存在する場合に、「中小法人」に上限200万円、「個人事業者等」に上限100万円を給付する。
https://www.jizokuka-kyufu.jp/

③中小企業再建支援金【千葉県】
対象者: 千葉県内に主たる事業所を有する「法人」及び「個人事業者」
※中小企業基本法における会社及び個人のうち、所定の業種を営む者であること。
※新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき休業等の要請を行った施設を有する者にあっては、当該要請に応じていること。
性 質: 支援金であり、原則として返還不要
概 要: 新型コロナウイルス感染症の拡大により、売上高(令和2年1月から令和2年7月の内、任意のひと月)が前年同月と比較して50%以上減少している場合に、賃借している事業所の数に応じて、上限40万円の支援金を給付する。
https://www.chiba-shienkin.com/

④緊急小口資金貸付・総合支援資金貸付
【千葉県社会福祉協議会  *受付は市区町村社会福祉協議会が行う】
対象者: 「個人」
性 質: 貸付であり、返済を要する
概 要:
①緊急小口資金
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、休業等により収入の減少があり、緊急かつ一時的に生計の維持が困難になった場合に、必要となる小額資金を貸付する。
②総合支援資金(生活支援費)
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、失業等、日常生活全般に困難を抱えており、生活の立て直しのために継続的な相談支援と生活費及び一時的な資金を必要とし、貸付を行うことにより自立が見込まれる場合に貸付する。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatsu-fukushi-shikin1/index.html
http://www.chibakenshakyo.com/0105shikin_page001.php#01


(2)市川市において行われる施策や制度
①【市川市】減収対策緊急支援給付金
対象者:「個人」
①令和元年度住民税が市川市で課税された方で、令和2年1月1日に市川市に住所を有する方(もしくは令和2年4月1日に住民票を有する方)。かつ、所定の所得要件を満たしている場合に令和2年2月から6月のうち1ヶ月の主たる収入が、前年の同月と比較して2割以上減収となっている方
②令和元年度の市川市の住民税が非課税(被扶養者を除く)の方で、令和2年4月1日に住民票を有する方
性 質: 給付金であり、原則として返還不要
概 要:
対象者要件①を満たす場合は、令和元年度住民税相当額を給付する。
対象者要件②を満たす場合は、一律5,000円を給付する。
https://www.city.ichikawa.lg.jp/res01/1111000135.html

②【市川市】事業者緊急支援事業臨時給付金
対象者:
「中小企業者」
※直近の法人市民税確定申告書の「所在地」が市川市である。
「個人事業主」
※令和元年分所得税青色申告決算書(一般用)の「住所」又は「事業所所在地」が市川市である。または、令和元年分収支内訳書(一般用)の「住所」又は「事業所所在地」が市川市であり、かつ、令和2年4月1日までに開業届が受理されている。
性 質: 給付金であり、原則として返還不要
概 要: 次の給付対象事業に要する経費と同額につき上限20万円を給付する。
   (1)休業・短縮営業の実施
   (2)その他感染症拡大防止に対する取り組み
    ・店舗の消毒、マスクや消毒液の購入
    ・テレワークの実施
    ・イベントやセミナーの中止 など
https://www.city.ichikawa.lg.jp/eco01/1111000203.html

③【市川市】セーフティネット保証・危機関連保証に関する認定
対象者: 中小企業基本法における「中小企業者」
※突発的災害(自然災害等)の発生に起因し売上高等が減少(4号)
※業況の悪化している指定業種に属する(5号)など
性 質: 保証融資の支援であり、返済を要する
概 要:
①市川市にてセーフティネット保証4号認定を受けることで、一般保証とは別枠の信用保証協会保証(保証割合100%)を利用可能。
②市川市にてセーフティネット保証5号認定を受けることで、一般保証とは別枠の信用保証協会保証(保証割合80%)を利用可能。
※なお、市川市では、セーフティネット保証4号または5号の認定を受けて、千葉県中小企業向け融資制度の「セーフティネット資金(市町村認定枠)」を利用する中小企業者を対象に、信用保証料及び利子を最大全額まで補助する制度を開始予定。
https://www.city.ichikawa.lg.jp/eco01/1111000194.html


第3 当事務所にてご支援できること
 当事務所では、通常、司法書士 としての業務(相続手続き・不動産登記・会社法人登記・裁判手続き・成年後見・債務整理など)を中心に執務しております。
 しかし、現下の経済情勢に鑑みると、ウイルス感染拡大による営業自粛や休業、失業などにより経済的困難に直面されている方々に向けて、国や地方自治体などにより実施される新たな経済施策や制度について少しでも分かりやすい形で情報提供し、必要に応じ、その利用や申請手続きをお手伝いすることも、「身近なくらしの法律家」として重要な役割ではないかと考えております。
 小職は、千葉県行政書士会に入会する 行政書士 でもあり、これら施策や制度の利用に関するご相談や申請手続きの支援(ご依頼に基づく各種申請書の作成や提出代行など)が可能です。お困りのことなどがございましたら、お気軽に当事務所までご相談くださいませ。

2020年4月27日

オンライン面談(仮称)の導入検討について

Q. 新型コロナウイルスの感染拡大により緊急事態宣言発令と外出自粛の要請が続いていますが、できるだけ早く登記・法律相談をしたいと思っています。
 現在、勤務先のテレワークで使用されている仕組み等を活用し、事務所への訪問をしないで面談して頂くことはできますか?

A. 法令に基づく措置として外出自粛を要請されている状況に鑑み、当事務所では現在、ご来所相談や出張相談など、対面による相談のご希望について、 内容の緊急性や切迫性、手続き期限の有無など、諸般の事情を総合考慮してご対応を判断させて頂いております。

 一方、緊急事態宣言や外出自粛要請が長期化する可能性を視野に入れて、当事務所では現在、 「オンライン面談(仮称)」の導入に向けて検討と準備を進めております。

 具体的には、通常、当事務所にご来所頂くか出張により行っている初回面談を、Web会議ソフトのビデオ通話機能を活用して、お客様はご在宅のままで行うとともに、ご相談に必要となる関係資料については、資料の機密性や重要性の程度に応じ、郵送、FAXまたはメール添付によるご提供を事前にお願いする方法などを検討しております。

 これにより、電話によるやり取りだけではご案内に限界があるような事案でも、ビデオ通話による画面上での資料提示を交えたご説明などにより、対面による面談により近い形でのご相談の機会をご提供できるのではないかと考えております。

 正式に導入を開始する際には、 当事務所ホームページ にてご案内させて頂く予定ですが、万一、お急ぎのご要件があります場合には、ご事情に応じてできる限り柔軟に対応させて頂きますので、どうぞお問合せくださいませ。

2020年4月26日

自筆証書遺言書保管制度により遺言書を法務局に保管してもらった場合における相続開始後の取扱い

Q. 遺言者が、自筆証書遺言書保管制度(令和2年7月10日施行予定)により遺言書の保管を法務局に申請した場合、相続開始後の取扱いはどうなりますか?

A. 新たに、「遺言書保管事実証明書」及び「遺言書情報証明書」の交付制度が設けられ、遺言者の相続人その他の関係者が、遺言書の有無や遺言内容を確認し、公的証明を受けられるようになります。
 また、本制度を利用して法務局に保管された自筆証書遺言については、家庭裁判所による検認手続きが不要となります。

【解説】
 自筆証書遺言書保管制度を利用していた遺言者が亡くなって相続が開始した場合、その相続人や遺言執行者、受遺者等は、法務局に対し、「遺言書保管事実証明書」の交付を請求できるようになります。

 相続においては、被相続人が遺言を遺していたか否かによって、その後の手続きの流れや内容が大きく変わりますが、上記証明制度が新設されたことにより、相続開始後、相続人その他の関係者が、遺言書の有無を調査するための手がかりが増えたことになります。

 また、遺言書が法務局に保管されている場合、その相続人や遺言執行者、受遺者等は、法務局に対し、「遺言書情報証明書」の交付を請求したり、遺言書の閲覧を請求できるようになります。

 この遺言書情報証明書は、土地建物の相続登記手続きその他各種の手続きに利用できる証明書となる予定です。

 なお、本制度を利用して法務局に保管された自筆証書遺言書については、家庭裁判書による検認手続きは不要となります。


自筆証書遺言書保管制度とは

Q. 令和2年の夏、法務局にて「自筆証書遺言書保管制度」が始まるとききました。これはどんな制度ですか。

A. 遺言者が自ら作成した自筆証書遺言書の原本を、公的機関である「遺言書保管所」(法務局)に預け、その保管を依頼できるようになる新しい制度です。
 本制度は、令和2年7月10日より運用開始される予定です。

【解説】
 自筆証書遺言とは、その全文や日付、氏名をすべて自書し、これに押印することで成立する遺言で、民法の定める3つの遺言方法の中では手続きの負担が少なく、もっとも手軽に作成できる遺言といえます。

 しかし、自筆証書遺言については、せっかく作成した遺言書を紛失・忘失してしまったり、保管場所を関係者に知らせていなかったことにより遺言者の死後に発見されなかったり、一部の相続人によって改ざんされてしまう恐れがあるなど、デメリットも指摘されていました。

 そこで、平成30年に「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が制定され、自筆証書遺言の保管に関する新たな選択肢として、公的機関である遺言書保管所(法務局)にて遺言書を保管してもらえる制度が新設されました。

 この制度を利用して遺言書を法務局に預けると、遺言者本人には保管証が交付されるとともに、遺言書の原本は以後、法務局にて保管されます。

 また、遺言者本人は、必要に応じて保管されている遺言書の閲覧(モニター閲覧または原本閲覧)を請求できるほか、一度預けた遺言書を返してもらう(保管の申請を撤回する)こともできます。

 なお、本制度を利用して自筆証書遺言書の保管を希望する場合、作成する自筆証書遺言書に関して、民法で定められた方式を遵守することはもちろん、当該遺言書を法務局でスキャンしてデータで保存する関係から、使用する紙のサイズや余白の取り方などにもルールが定められているので、作成に際しては留意が必要です。

 本制度は、令和2年7月10日より運用開始される予定であり、法務省ホームページにおいて、周知のための情報提供がなされていますのでご参考下さい。

2020年2月10日

ごあいさつ


 この度は多田司法書士事務所のホームページをご覧頂きまして誠に有難うございます。

 当事務所は、平成22年(2010年)2月に「身近なくらしの法律家」として市川妙典の地にて開業し、今年満10周年を迎えることができました。これまでご相談やご依頼を頂きました全てのお客様に心より御礼申し上げるとともに、日頃より快く助言下さる隣接士業の皆様や同職の先輩、同期の皆様方に心より感謝申し上げます。

 開業以来、当事務所では、地域の皆様からお寄せ頂くご相談ご要望にできる限りお応えすべく、お客様のお話をお一人お一人丁寧にお伺いしながら、お役に立てるよう努めて参りましたが、ここまで大過なく業務を遂行できたことに、深く感謝を憶えております。

 この間、社会に生起する諸課題に応じた法改正は相次ぎ、情報技術の進展には目を見張るものがあって、これらが、今後の司法書士に求められる役割や責任、執務のあり方に確実な変化をもたらしていることを切に感じております。

 そうした中にあっても、業務の根底にあるべきは、お客様との真摯なコミュニケーションを通じた信頼の醸成とそれに基づく誠実な執務姿勢であり、その実践のために掲げた皆様との「7つのお約束」に込める思いは、今も変わりません。

 今後も、ご相談ご依頼をお寄せ頂けるお客様に対する感謝の念を忘れず、絶えざる研鑽を重ねながら、地域のお客様のお役に立てるよう、更に努めて参る所存です。今後とも、当事務所を何卒宜しくお願い申し上げます。

 令和2年2月10日 司法書士・行政書士 多田正知



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