2018年10月10日

自筆証書遺言の要件緩和について

Q. 平成30年の相続法改正で、自筆証書遺言の要件が緩和されたとのことですが、どのように改正されましたか。

A. 自筆証書遺言と一体のものとして添付される相続財産の目録については、必ずしも自書する必要がなくなりました。ただし、この場合は、目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合は、その両面)に自筆で署名し、押印する必要があることに注意が必要です。

 なお、この改正は、平成31年1月13日から施行されることになっています。

【解説】
 自筆証書遺言については、民法968条1項にその要件が定められています。

 民法968条1項 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

 この要件の一部でも満たされないと、遺言は原則として無効とされてしまいますが、今回の改正でこの要件が一部緩和され、次の例外が設けられました。

 民法968条2項 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第997条第1項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。

 つまり、自筆証書遺言において、相続財産を特定するための目録については、必ずしも自書する必要がなくなり、たとえば、パソコンで作成して印刷した相続財産目録を自筆証書本文に添付して、一体のものとしても良いことになります。
 注意すべきことは、自書によらないで作成した目録については目録の毎葉(=全てのページ)に遺言者の自筆署名と押印が必要であり、自書によらない記載が両面にある場合には、その両面ともに自筆署名と押印が必要であることです。

 上記改正は、他の改正点に関する施行に先立ち、平成31年1月13日から施行されています。


0 件のコメント:

コメントを投稿

最近よく閲覧された投稿