Q. 父がいわゆる「相続させる遺言」を遺して亡くなり、私が単独で不動産を取得することになりましたが、相続登記の申請は急ぐ必要がありますか?
A. 平成30年民法(相続法)改正により、共同相続における権利承継の対抗要件に関する規定が新設され、法定相続分を超える権利承継部分については、対抗要件である登記を備えなければ、第三者に対抗することができないとされましたので(民法899条の2)、「相続させる遺言」が効力を生じた後は、速やかに相続登記を申請する必要があります。
【解説】
これまで、いわゆる「相続させる遺言」による不動産の権利の取得については、登記をしなくてもその権利を第三者に対抗できるとされていましたが(最判平14.6.10判時1791-59)。
しかし、この結論については、遺産分割や遺贈による権利の取得の場合に登記が対抗要件とされていることとの整合を欠き、遺言の内容を容易には知りえない第三者の保護にも欠けるとの批判がありました。
そこで、平成30年民法(相続法)改正では見直しがなされ、法定相続分を超える権利承継部分については、対抗要件である登記を備えなければ、第三者に対抗することができないとされました(民法899条の2)。
このため、「相続させる遺言」により不動産を単独で取得した相続人Aが、その相続登記をしないでいる間に、万一、他の共同相続人が法定相続分による共同相続登記を行ったうえで自己の持分を第三者に売却し、その第三者が先に登記を備えてしまうと、相続人Aは、自己の法定相続分を超える部分については、第三者に権利の取得を対抗できないことになりました。
したがって、今後は、「相続させる遺言」によって法定相続分を超えて不動産の権利を取得した相続人は、売買や贈与などによって権利を取得した場合と同様に、速やかに相続登記を申請する必要があります。
平成30年民法改正では、配偶者居住権の新設や自筆証書遺言に関する見直しなどに関心が集まっていますが、上記の内容も、相続により承継取得した権利の保全の観点からは大変に重要な改正といえます。
しかし、この結論については、遺産分割や遺贈による権利の取得の場合に登記が対抗要件とされていることとの整合を欠き、遺言の内容を容易には知りえない第三者の保護にも欠けるとの批判がありました。
そこで、平成30年民法(相続法)改正では見直しがなされ、法定相続分を超える権利承継部分については、対抗要件である登記を備えなければ、第三者に対抗することができないとされました(民法899条の2)。
このため、「相続させる遺言」により不動産を単独で取得した相続人Aが、その相続登記をしないでいる間に、万一、他の共同相続人が法定相続分による共同相続登記を行ったうえで自己の持分を第三者に売却し、その第三者が先に登記を備えてしまうと、相続人Aは、自己の法定相続分を超える部分については、第三者に権利の取得を対抗できないことになりました。
したがって、今後は、「相続させる遺言」によって法定相続分を超えて不動産の権利を取得した相続人は、売買や贈与などによって権利を取得した場合と同様に、速やかに相続登記を申請する必要があります。
平成30年民法改正では、配偶者居住権の新設や自筆証書遺言に関する見直しなどに関心が集まっていますが、上記の内容も、相続により承継取得した権利の保全の観点からは大変に重要な改正といえます。
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