2020年4月26日

自筆証書遺言書保管制度とは

Q. 令和2年の夏、法務局にて「自筆証書遺言書保管制度」が始まるとききました。これはどんな制度ですか。

A. 遺言者が自ら作成した自筆証書遺言書の原本を、公的機関である「遺言書保管所」(法務局)に預け、その保管を依頼できるようになる新しい制度です。
 本制度は、令和2年7月10日より運用開始される予定です。

【解説】
 自筆証書遺言とは、その全文や日付、氏名をすべて自書し、これに押印することで成立する遺言で、民法の定める3つの遺言方法の中では手続きの負担が少なく、もっとも手軽に作成できる遺言といえます。

 しかし、自筆証書遺言については、せっかく作成した遺言書を紛失・忘失してしまったり、保管場所を関係者に知らせていなかったことにより遺言者の死後に発見されなかったり、一部の相続人によって改ざんされてしまう恐れがあるなど、デメリットも指摘されていました。

 そこで、平成30年に「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が制定され、自筆証書遺言の保管に関する新たな選択肢として、公的機関である遺言書保管所(法務局)にて遺言書を保管してもらえる制度が新設されました。

 この制度を利用して遺言書を法務局に預けると、遺言者本人には保管証が交付されるとともに、遺言書の原本は以後、法務局にて保管されます。

 また、遺言者本人は、必要に応じて保管されている遺言書の閲覧(モニター閲覧または原本閲覧)を請求できるほか、一度預けた遺言書を返してもらう(保管の申請を撤回する)こともできます。

 なお、本制度を利用して自筆証書遺言書の保管を希望する場合、作成する自筆証書遺言書に関して、民法で定められた方式を遵守することはもちろん、当該遺言書を法務局でスキャンしてデータで保存する関係から、使用する紙のサイズや余白の取り方などにもルールが定められているので、作成に際しては留意が必要です。

 本制度は、令和2年7月10日より運用開始される予定であり、法務省ホームページにおいて、周知のための情報提供がなされていますのでご参考下さい。

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